日本武尊(倭建命・ヤマトタケル)は日本神話にとって特別な存在であると共に極めて不思議な存在です。第12代景行天皇の王子として生まれ、九州、出雲、そして東国を平定した英雄として描かれています。
しかしながら、九州や出雲平定の物語は「激情型で荒っぽい」、それこそ降伏した敵の狩猟だけではなく兄をも惨殺してしまうほどの強烈なキャラクターである一方、東国平定から現在の愛知県・三重県で亡くなるまで英雄にふさわしいジェントルマンになります。
それでいて最後は死して白鳥になって都に飛んでいく、というにわかには信じがたい伝説を残しています。
わくわくすることに、日本武尊の足跡は多くは神社に残されています。「日本武尊が海を渡った場所」「日本武尊が腰掛けた石」「日本武尊が上った山・丘」。それらが現在の地名として残されているところも少なくはありません。
果たして日本武尊とは何者だったのでしょうか?実在したのでしょうか?
なぜ、前半生に兄を殺すほどの激情型の人が、後半生人々から敬意を集める存在になったのでしょうか?
本当に一人の人間だったのでしょうか?
神社を巡りながら日本武尊の伝説に思いをはせてみましょう。