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神功皇后が祀った勝利の神 (山口県)長門国一宮 住吉神社(住吉荒魂本宮)

住吉神社 御朱印 全国一宮巡り
住吉神社 御朱印
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住吉神社 大鳥居
住吉神社 大鳥居

基本情報

鎮座(所在地)

山口県下関市一の宮1-11-1

社格等

式内社(名神大社)
旧社格:官幣中社
神社本庁別表神社

御祭神

第一殿 住吉大神(スミヨシノオオカミ) 底筒男命・中筒男命・表筒男命の荒魂
第二殿 応神天皇(オウジンテンノウ)八幡大神
第三殿 武内宿祢命(タケノウチスクネノミコト)高良明神
第四殿 神功皇后(ジングウコウゴウ) 息長帯比売神
第五殿 建御名方命(タケミナカタノミコト) 諏訪明神

御神徳

お祓い、交通安全、海運、産業振興、長寿、安産、武道

縁起

住吉の大神は、神世の昔、伊邪那岐命が黄泉国(死の世界)から帰って穢れを清められたとき出現された神であります。
仲哀天皇の九年(200年)神功皇后さまが三韓征討の時に再び現れ「吾が和魂は玉身の寿命を守り、荒魂は軍船を導かん」との御教示により大神を守り神として進軍いたし、その神助により交戦することなく戦勝いたしました。
この神恩に感謝し、神功皇后さまはこの地に祠を建てて、住吉大神の荒魂をおまつりになったのが住吉神社の起こりであります。
爾来、長門の国一の宮と仰がれ、明治四年社格が制定されては官幣中社に列せられました。
荒魂(あらみたま)・和魂(にぎみたま)とは、古代、神霊は荒魂と和魂という二つの霊魂により成り立つと考えられていました。荒魂は人間生活促進のため、勇猛果敢に活動する御魂をいいます。和魂は、温和で徳を備え、平和をもたらす御魂をいいます。
『千八百年の時を刻む悠久の社 長門国一宮 住吉神社 参拝のしおり』より抜粋

交通情報

公共交通機関


JR新下関駅からバスで5分 「一の宮」バス停から徒歩5分

中国自動車道 下関ICから車で約10分
(駐車場)
境内脇に専用駐車場が約20台程度あり
周囲に有料パーキングあり

参拝記

長門国の一の宮で約1800年前に鎮座した古社。
住吉大神のご神託により、神功皇后がその「荒魂」をこの地に祠として祀り、由緒ある古社として祀られ続けてきた。
周囲は住宅地で、ここだけぽっかり杜に囲まれた異空間が出現する。

住吉神社 楼門階段
住吉神社 楼門階段


現在は「住吉神社」と称しているものの、古くは「住吉荒魂本宮」と称されていて、この「荒魂」部分にスポットが当たっている神社であった。御朱印の印は「住吉神社」だが、墨書は「住吉荒魂本宮」。
戦いと勝利の神様ということで、古来より勝負事の神「勝神」として信仰されてきたのもそうした理由からか。

境内には武内宿禰が手植えしたとされる大楠がご神木として祀られている。

荒魂が祀られている神社ではあるが、境内は本当にのどかな雰囲気が漂っており、境内手前に配された池を渡り、鐘楼に向けた大階段を上って拝殿・本殿に至る。

拝殿は極彩色のいかにも「住吉様」という雰囲気だが、一方で本殿は五つの社殿を連結していとつの本殿とされていて、色彩は落ち着いていて古来の型を色濃く残しているようだ。
本殿は1370年頃に当時の守護大名大内氏によって建立された国宝、拝殿は1539年頃に戦国大名の毛利元就によって建立された重要文化財で、いずれも極めて重要な文化財となっている。

住吉神社 拝殿(重要文化財)
住吉神社 本殿向かって左(国宝)
住吉神社 本殿向かって左(国宝)
住吉神社 本殿向かって右(国宝)
住吉神社 本殿向かって右(国宝)

神功皇后や武内宿禰といえば、三韓征伐・征討に関する旧跡が中国地方から九州北部に多い。

現在は下関市に属するこのあたりは、昔は「長門国豊浦郡」であり、現在、長門国二宮とされる「忌宮神社」のあたりが仲哀天皇元年(192年)に熊曾征伐のためにこの地域に行宮「豊浦宮」を立てたとされている。
この年代が確かであれば、
192年に仲哀天皇が熊曾征伐の途中に
200年に神功皇后が三韓征伐の帰りに
それぞれこの地域を訪れていたことになる。
仲哀天皇は199年に現在の福岡県の香椎宮付近で崩御しており、その理由は三韓征伐をするようにとの神様の指示を信用せず、神様の怒りに触れて、ということになっている。

このあたりの仲哀天皇と神功皇后、武内宿禰のエピソードは非常に興味深い。
天皇を称えるはずの記紀に、仲哀天皇は「神の命令に背いた天皇」として描かれる一方、神功皇后は「神に忠実に神の戦功を上げた皇后」として描かれる。
しかも、これほどスポットが当たる「皇后」というのはこの「神功皇后」だけなのだ。

住吉神社 ご神木大楠(武内大臣御手植楠)
住吉神社 ご神木大楠(武内大臣御手植楠)
住吉神社 ご神木大楠
住吉神社 ご神木大楠

業務の関係でここ数年、割と頻繁に山口県内を訪れることが多く、そのタイミングで山口県内の神社に参拝させていただくことが多い。
恐らく古代には、極めて発展していた北部九州地方と出雲・吉備・大和地方の結節点に位置していた山口県内には、本社をはじめとして記紀に出てくる英雄達の姿が神社に息づく大変素晴らしい地域であると感じている。

境内に配置されていた青銅製の狛犬が大変愛らしい。元々この場所にあったものを、戦時中の軍事物資として徴用されて、やむを得ず複製としてコンクリートの狛犬を配置していたところ、平成27年に有志の浄財を持って再建されたとのこと。これこそ平和のありがたさか。戦時中とはいえ、勝ち運の神様の境内の青銅も徴用するとは、と改めて考えさせられる。

住吉神社 青銅製狛犬
住吉神社 青銅製狛犬

(御朱印)

境内の拝殿脇の社務所にて。
御朱印受付後、受取は休憩所内部。
初穂料は300円

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